私には夢がある

仙台事業部 遠藤 英之輔

 金曜日の午後7時。バカでかいセットがスタジオに運ばれてくる。仙台事業部制作技術センターのルーキー鯉沼真帆と仙台制作のルーキー鈴木春菜。毎週、制技とスポーツDでこのセットを組み上げています。冬でも汗を掻きます。

 去年6月。KHBスポーツ部のADに欠員が出て、急遽配属になった鈴木春菜。元々は制作志望でしたが、配属先は制作技術アシスタントでした。当然、本意ではない勤務(実は制作志望者にとって、技術の近くにいる事が一番役に立つと思うのですが)だったかもしれませんが、勤務終了後に薄暗いスタジオでケーブル巻きの練習を黙々とやっていたとのエピソードを聞き即決!土屋仙台事業部長にお願いしてスポーツADに配置転換してもらいました。

 それから7ヶ月(今年1月時点)。スポーツ取材、プロ野球中継、番組制作と見るもの全てが新しく、時に恐怖であったであろう業務を黙々と粘り強く、時にトンチンカンであったりしましたが、配属されて来た頃と変わらぬ姿勢で努力して来ました。今やスポーツ部を底から支えるADとして、なくてはならない存在になりつつあります。

 ある時、そんな春菜が馴染みの焼き鳥屋で演説を始めました。

 「私には夢があるのです。私がいつか楽天中継のDとして中継車に乗って、カメラが鯉沼と福岡(公子)、玲奈(佐々木)歩夏(小野寺)で、音声が大塚(友哉)君の布陣で、同期のみんなと楽天中継の仕事をするのが夢です。だから同期には負けないように成長したいのです。」びっくりしました。春菜がキング牧師に見えました。AD時代の私には確たる夢がありませんでした。ただラッキーな事に、夢を見させてくれた先輩はいました。それはそれで幸せな日々だったような気がします。

 まもなく桜が咲く頃です。先輩達は花見に心躍らせています。責任が何倍も重くなる2年目の皆さん。桜を眺める余裕がありますか?もし余裕がなければ、花見の席取りは先輩達にお任せし、その間に1センチでも成長できるよう努力しましょう。そうしたらミクロ単位で夢に近づくかもしれません。

 AD時代の5年間、上野公園で毎年泥酔していたポンコツの言葉なので説得力は大いにあると思います。